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BDRとは?エンタープライズ開拓で注目される営業手法を分かりやすく解説

「BDRってなんの意味?」

「最近よく聞くBDRって何のこと?」

「従来の営業とはどう違うの?」

このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?

BDRは、企業側がターゲットと定めた企業に対して、戦略的に新規のアポイントを獲得し、商談機会を創出する役割です。

アウトバウンド型のアプローチが中心となり、特に大企業や中堅企業をターゲットとした営業手法として注目を集めています。

本記事では、BDRの基本的な仕組みから他の営業手法との違い、具体的なアプローチ方法まで分かりやすく解説します。

理解することで、効率的な新規開拓営業の実現や今後のビジネスチャンスも見えてくるでしょう。

この記事で分かること

・BDRの基本的な定義と営業における位置づけ
・従来の営業手法やSDRとの明確な違い
・BDRが注目される理由と市場背景

分かりやすく解説しているので、ぜひお読みください。

BDRとは?新規開拓型インサイドセールスの基本的な仕組み

BDRとは、新規顧客開拓を専門とするインサイドセールス手法です。

BusinessDevelopmentRepresentativeの略称で、企業が戦略的に選定したターゲット企業に対して積極的にアプローチを行います。

BDRの定義と営業における位置づけ

BDRは営業組織における重要な役割を担っています。

実は、営業プロセス全体の中でも特に新規顧客との接点を創出する部分を専門に扱います。

具体的には、リード獲得からナーチャリング(育成)、そして商談創出までがBDRの守備範囲となります。

その後の商談クロージングや契約締結は、フィールドセールスに引き継がれるのが一般的です。

アウトバウンド型営業としての特徴

BDRの最大の特徴は、アウトバウンド型のアプローチを取ることです。

自社から積極的にターゲット企業にアプローチし、商談機会を創出します。

例えば、電話やメール、DM、手紙といった非対面の手法を駆使して、これまで全く接点のなかった企業との関係構築を図ります。

一般的には、中堅企業から大企業、官公庁といったエンタープライズ領域をターゲットとすることが多いです。

インサイドセールス手法としてのメリット

BDRをインサイドセールス手法として活用することで、多くのメリットが得られます。

地理的な制約を受けることなく、効率的に多くの見込み顧客にアプローチできます。

移動時間や交通費といったコストを削減しながら、従来の訪問営業よりも多くの接触機会を創出できるのです。

また、非対面でのアプローチが中心となるため、テレワーク環境下でも継続的な営業活動が可能になります。

これまでの営業手法とBDRとの違い

従来の営業手法とBDRには、アプローチ方法や効率性の面で大きな違いがあります。

特に戦略性と効率性において、BDRは従来手法を大きく上回る成果を期待できます。

従来のテレアポ・飛び込み営業との差別化ポイント

従来のテレアポや飛び込み営業は、活動量重視のアプローチが中心でした。

実は、これらの手法では営業が費やす労力に対して得られる成果が限定的でした。

一方、BDRでは戦略的にターゲット企業を選定し、個別最適化されたアプローチを行います。

具体的には、ターゲット企業の組織構造やキーマンを事前に調査し、最適なタイミングで最適な相手にアプローチします。

フィールドセールスとの役割分担

BDRとフィールドセールスは、明確な役割分担がなされています。

BDRは商談機会の創出まで、フィールドセールスは商談からクロージングまでを担当します。

この分業制により、それぞれが専門性を発揮し、営業活動全体の効率化が図れます。

例えば、BDRが質の高いリードを創出することで、フィールドセールスはより成約確度の高い商談に集中できるのです。

SDR(反響型営業)との明確な違い

BDRとSDRは、同じインサイドセールスでも対象とする顧客層が異なります。

SDRは問い合わせや資料請求など、能動的なアクションがあった購買意欲の高い見込み顧客を対象とします。

一方、BDRは自社の商品・サービスに対してまだ興味を持っていない潜在層にもアプローチします。

また、SDRの主な対象は中小企業であるのに対し、BDRは中堅企業から大企業をターゲットとする点も大きな違いです。

引用元:Sansan株式会社の調査

BDRが注目される理由

近年、BDRが営業戦略の中核として注目される背景には、複数の市場要因があります。

特にエンタープライズ戦略の重要性が高まっている現状があります。

SaaS市場拡大によるエンタープライズ戦略の重要性

SaaS市場の急速な拡大により、BDRの重要性が増しています。

SaaSビジネスの収益モデルは月額制のサブスクリプションで、継続的で安定的な売上が見込める反面、一度に得られる顧客あたりの収益は少なくなります。

そのため、中小企業ではなく、大企業や官公庁といったエンタープライズ開拓の必要性が高まっているのです。

エンタープライズ企業は事業規模が大きく、従業員数も多いため、取引先数が限定的でも大きな利益を見込めます。

引用元:三井住友銀行BusinessNavi

日本企業の付加価値構造から見るBDRの必要性

日本の産業構造を見ると、BDRの必要性がより明確になります。

実は、全企業のうちエンタープライズ企業(大企業)の占める割合は0.3%にすぎません。

しかし、付加価値総額で見ると、母数が少ないにもかかわらずエンタープライズ企業の方が圧倒的に大きいのです。

つまり、営業先として売上の小さいSMB企業の方が圧倒的に多く、企業数を積み上げても売上拡大には時間がかかってしまいます。

引用元:中小企業庁2024年版中小企業白書

インターネット普及による営業手法の変化

インターネットの普及とDXの推進により、営業手法も大きく変化しています。

従来の対面営業中心のアプローチから、非対面でも効果的な営業活動が求められるようになりました。

特に、コロナ禍を機に多くの企業がリモートワークを導入し、対面での商談機会が制限されました。

このような環境変化の中で、BDRのような非対面でのアプローチ手法の重要性が一層高まっているのです。

BDRを導入・活用している主要企業

BDRは特にSaaS業界を中心に、多くの企業で導入が進んでいます。

成功事例から学ぶことで、効果的なBDR運用のポイントが見えてきます。

SaaS業界でのBDR導入事例

セールスフォース・ジャパンは、BDR導入の先駆的企業として知られています。

同社では外勤営業3名に対してBDR1名を配置する体制を構築し、チーム一体となった営業活動を展開しています。

特にエンタープライズ向けのアプローチでは、年間のアカウントプランに基づいて四半期ごとに狙うべき企業や部署を選定し、戦略的なアプローチを実施しています。

また、BDRメンバーは概ね1年ほどで成績優秀者から順にAE(AccountExecutive)へ昇格するキャリアプランが用意されており、モチベーション向上にも配慮されています。

引用元:ALLSTARSAASFUND

エンタープライズ向けサービス企業の取り組み

チームスピリットは、BDR強化のために積極的なマーケティング投資を行っている代表例です。

同社は勤怠や工数管理のクラウドツールを展開する上場企業として、BDR経由での新規顧客獲得に注力しています。

特に、ABM(AccountBasedMarketing)戦略と組み合わせたBDRアプローチにより、中堅から大手企業の未接点開拓を効果的に進めています。

決算資料においても、BDR強化のための広告宣伝費増加を明示するなど、戦略的な投資を継続している企業です。

大手IT企業のBDR組織構築

多くの大手IT企業が、BDR組織を新設して営業力強化を図っています。

これらの企業では、マーケティング部門、BDR、フィールドセールスの連携を重視した組織体制を構築しています。

例えば、マーケティング部門が創出したリードをBDRが育成し、質の高い商談をフィールドセールスに引き継ぐという一連の流れを確立しています。

また、BDRメンバーのスキル向上のため、定期的な研修や他部署との交流機会を設けている企業も多く見られます。

BDRの具体的なアプローチ手法

BDRの成功には、戦略的で体系化されたアプローチ手法が不可欠です。

特にエンタープライズ企業を対象とする場合、緻密な事前調査と個別最適化されたアプローチが重要になります。

ターゲット企業の組織図・決裁フロー調査

BDRの最初のステップは、ターゲット企業の組織構造の把握です。

エンタープライズ企業では、購入の承認プロセスに複数人が関わることが一般的です。

そのため、決裁権者とキーパーソンを特定するために組織図の把握が必要不可欠となります。

具体的には、企業のIR情報や公式サイト、LinkedInなどを活用して、各部署の責任者や意思決定者を特定します。

また、過去に商談経験のある企業の場合は、既存の担当者から組織情報を収集することも有効です。

DM・手紙による戦略的アプローチ

エンタープライズ企業への効果的なアプローチ手法として、DM・手紙の活用があります。

電話やメールでは到達しにくいキーマンに対して、私信として手紙を送ることで開封率を高めることができます。

重要なのは、不特定多数に送られるような一般的なDMではなく、送付先のターゲットに合わせた内容で個別にカスタマイズすることです。

例えば、その企業の業界動向や課題に言及し、自社サービスがどのように解決に貢献できるかを具体的に記載します。

送付後は必ずフォローアップを行い、商談創出につなげることが重要です。

ABM戦略と連携したOnetoOneマーケティング

BDRの成果を最大化するためには、ABM(AccountBasedMarketing)戦略との連携が欠かせません。

ABMは、自社にとって高い価値を持つ企業をターゲットとして選定し、戦略的にアプローチするマーケティング手法です。

具体的には、LTV(LifeTimeValue)の高い顧客セグメントを分析し、自社にとっての優良企業を絞り込みます。

その上で、MAツールを活用した高品質なコンテンツ配信や、展示会・説明会などのオフラインイベントでの接点創出を組み合わせます。

このように複数のタッチポイントを組み合わせることで、ターゲット企業との関係構築を効果的に進めることができるのです。

引用元:BOXILMagazine

まとめ【BDRで効率的な新規開拓営業を実現】

BDRは、戦略的な新規開拓営業を実現するための重要な手法です。

従来のテレアポや飛び込み営業と異なり、ターゲット企業を戦略的に選定し、個別最適化されたアプローチを行うことで高い成果を期待できます。

特にSaaS市場の拡大やエンタープライズ戦略の重要性が高まる中、BDRの役割はますます重要になっています。

組織図や決裁フローの調査、DM・手紙による戦略的アプローチ、ABM戦略との連携など、体系化された手法を組み合わせることで、効率的な新規顧客開拓が可能になるでしょう。