「RPOという言葉を聞いたことはあるけれど、具体的にどのようなサービスなのか分からない」
「採用代行とRPOの違いは何なのか知りたい」
「自社の採用活動にRPOを活用できるのか判断したい」
このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?
RPOとは、「Recruitment Process Outsourcing」の略で、企業の採用業務の一部または全てを外部の専門企業に委託するサービスです。
本記事では、RPOの基本的な定義から具体的なサービス内容、従来の採用手法との違いまで分かりやすく解説します。
理解することで、自社の採用課題に最適な解決策を見つけることができ、今後の効率的な人材獲得戦略の構築にも役立てることができます。
この記事で分かること
・RPOの基本的な定義と具体的なサービス内容
・従来の採用手法とRPOサービスの違い
・RPOが注目される背景と市場での活用事例
分かりやすく解説しているので、ぜひお読みください。
目次
RPOとは?採用業務の代行サービス解説
RPOは企業の採用活動を根本的に変革する画期的なサービスです。
RPOの基本的な定義と仕組み
RPOとは「Recruitment Process Outsourcing」の略称で、企業の採用業務を外部の専門企業に委託するサービスです。
実は、RPOという概念は1990年代のアメリカで生まれました。
日本では2000年代後半から本格的に導入が始まり、現在では採用代行や採用アウトソーシングとも呼ばれています。
RPOの仕組みは、企業が抱える採用業務の一部または全体を専門企業が代行することです。
例えば、応募者の受付業務から面接日程の調整、書類選考まで幅広い業務を委託できます。
委託企業は自社の採用担当者と密に連携を取りながら、まるで社内のチームの一員として採用活動を進めます。
採用代行サービスの具体的な業務内容
RPOで委託できる業務は、採用プロセス全体に及びます。
募集要件の策定から始まり、求人広告の作成・掲載、応募者対応、書類選考、面接日程調整まで対応可能です。
意外にも、最近では採用戦略の立案やKPI設定といった戦略的業務も委託対象となっています。
具体的には、月に100件以上の応募がある企業の場合、応募者との電話・メール対応だけで採用担当者の工数の60%以上を占めることがあります。
こうした事務的業務をRPOに委託することで、採用担当者は面接や内定者フォローなどの重要業務に集中できるようになります。
料金体系は月額固定型、成果報酬型、従量課金型の3つが主流です。
RPOと採用アウトソーシングの関係性
RPOと採用アウトソーシングは、実質的に同じサービスを指しています。
日本では「採用代行」「採用アウトソーシング」という呼び方が一般的でしたが、近年はグローバル標準の「RPO」という表記が浸透しています。
一般的なBPO(Business Process Outsourcing)との違いは、採用業務に特化している点です。
BPOは経理や総務など幅広い業務を対象としますが、RPOは採用プロセスのみに専門特化しています。
そのため、採用市場の動向や効果的な採用手法に関する深い知見を持っているのが特徴です。
これまでの採用手法とのRPOの違い
従来の採用手法とRPOには、業務範囲と関与の仕方に明確な違いがあります。
従来の人材紹介サービスとの違い
RPOと人材紹介サービスの最大の違いは、業務の関与範囲です。
人材紹介は候補者の紹介に特化し、入社決定時に成果報酬を受け取る仕組みです。
一方、RPOは採用プロセス全体に関与し、企業の内部から採用活動をサポートします。
例えば、人材紹介では求人要件の策定や面接官のトレーニングは対象外ですが、RPOではこれらも委託可能です。
契約形態も異なり、人材紹介は成果報酬型が主流ですが、RPOは月額固定や従量課金などより柔軟な料金体系を採用しています。
実際に、RPOを導入した企業の95%以上が満足していると回答しており、継続的なパートナーシップを重視する企業に適しています。
自社採用との業務範囲の比較
自社採用とRPOの違いは、専門性と効率性の観点で顕著に表れます。
自社採用では全ての業務を社内リソースで対応するため、採用担当者の業務負担が大きくなりがちです。
RPOでは、煩雑な事務業務を外部に委託し、社内の採用担当者はより戦略的な業務に専念できます。
具体的には、書類選考で100件の応募書類を処理する場合、自社対応では約20時間必要ですが、RPOでは3時間程度に短縮可能です。
また、RPO企業は複数の業界・職種の採用実績を持つため、自社では気づかない採用課題やその解決策を提案してくれます。
コスト面では、新たに採用担当者を1名雇用するより、RPOを活用した方が年間コストを30%程度削減できるケースもあります。
BPOとRPOの明確な違い
BPO(Business Process Outsourcing)とRPOは、対象業務の範囲が異なります。
BPOは経理、総務、カスタマーサービスなど幅広い業務プロセスを対象とする包括的なアウトソーシングサービスです。
RPOはBPOの一種ですが、採用業務に完全に特化している点が特徴です。
この特化により、RPO企業は採用市場の動向や効果的な採用手法について深い専門知識を蓄積しています。
例えば、IT業界のエンジニア採用なら最適な求人媒体の選定から、業界特有の選考プロセス設計まで対応できます。
RPO市場の規模は2021年度に628億円に達し、BPO市場全体の中でも特に成長が著しい分野となっています。
RPOが注目される理由
近年、RPOへの注目が急速に高まっているのには、採用市場の構造的変化が大きく影響しています。
採用市場の売り手市場化の影響
現在の採用市場は極度の売り手市場となっており、RPOの需要拡大を後押ししています。
2023年12月時点で有効求人倍率は1.27倍、新規求人倍率は2.26倍と高水準で推移しています。
この数値は、求職者1人に対して2件以上の求人が存在することを意味します。
実際に、優秀な候補者は複数企業から内定を獲得することが当たり前となり、内定辞退率も上昇傾向にあります。
このような環境下では、従来の「求人を掲載して待つ」だけの採用手法では優秀な人材を獲得できません。
RPOを活用することで、候補者への迅速な対応や魅力的な採用プロセス設計が可能となり、競合他社との差別化を図れます。
採用手法の多様化による業務負担増加
採用手法の多様化により、採用担当者の業務負担が急激に増加しています。
従来の求人広告に加えて、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、SNS採用など多様なチャネルが登場しました。
例えば、中規模企業でも5〜8種類の採用チャネルを同時に運用するケースが珍しくありません。
各チャネルの効果測定や最適化作業だけで、採用担当者の月間工数の40%以上を占めることもあります。
RPOでは、複数チャネルの統合管理や効果分析を専門チームが代行するため、採用担当者は戦略立案に集中できます。
実際に、RPOを導入した企業の約80%が「採用担当者の業務負担が大幅に軽減された」と回答しています。
採用競争激化と専門性の必要性向上
企業間の人材獲得競争の激化により、採用活動の専門性が従来以上に重要となっています。
優秀な人材ほど複数の企業から同時にアプローチを受けるため、差別化された採用戦略が必要です。
RPO企業は、数百社の採用支援実績から蓄積した成功パターンやベストプラクティスを保有しています。
具体的には、職種別の最適な選考フロー設計や、候補者の志向に応じたアプローチ手法などの専門知識です。
自社で同等の専門性を身につけるには数年の経験と継続的な市場調査が必要ですが、RPOなら即座に活用できます。
この専門性の差が、最終的な採用成功率に20〜30%の違いをもたらすケースも報告されています。
RPOを提供している主要企業
RPO市場には多様な企業が参入しており、それぞれが異なる強みを持っています。
総合支援型のRPOサービス企業
総合支援型のRPO企業は、採用戦略の立案から実務まで一貫してサポートします。
代表的な企業としては、パーソルキャリア、リクルートキャリア、ネオキャリアなどの大手人材会社が挙げられます。
これらの企業は、累計10,000社以上の支援実績を持ち、新卒・中途・アルバイト全領域に対応可能です。
実は、総合支援型企業の多くは人材紹介事業で培ったノウハウをRPOに活かしています。
具体的には、採用コンサルティングから求人広告作成、面接代行まで幅広い業務を一括で請け負います。
料金体系は月額20万円〜50万円程度が一般的で、継続的に複数名の採用を予定している中堅・大手企業に適しています。
オペレーション特化型のサービス企業
オペレーション特化型のRPO企業は、事務的業務の代行に特化したサービスを提供します。
主要企業には、まるごと人事、トルトルくん、PRO SCOUTなどがあり、月額10万円〜40万円の安価な料金設定が特徴です。
これらの企業は、応募者対応、書類選考、面接日程調整などの定型業務に強みを持っています。
意外にも、オペレーション特化型企業の多くはIT企業が運営しており、システム化による効率化を得意としています。
例えば、月間1,000件以上の応募があっても、専用システムを活用して迅速に対応できる体制を整えています。
スタートアップやベンチャー企業など、採用コストを抑えつつ効率化を図りたい企業に人気があります。
専門領域特化型のRPO企業
専門領域特化型のRPO企業は、特定の職種や業界に特化した深い専門性を提供します。
IT・エンジニア採用では、uloqo(旧プロジェクトHRソリューションズ)、ログリオ、91採用代行などが代表的です。
これらの企業は、500社以上のエンジニア採用支援実績を持ち、技術職特有の採用課題を熟知しています。
特筆すべきは、専門特化型企業のコンサルタントの多くが該当業界出身者である点です。
具体的には、SIer出身者やソフトウェアベンダー出身者が在籍し、技術的な理解に基づいた採用支援を行います。
料金は総合型よりやや高めの設定ですが、採用成功率や定着率の向上により、結果的にコストパフォーマンスが優れているケースが多く報告されています。
RPOの活用事例
RPOの導入効果は、企業規模や業界を問わず多くの成功事例で実証されています。
大量採用におけるRPO活用事例
大量採用でのRPO活用は、採用効率の劇的な改善を実現します。
ある製造業大手企業では、年間300名の採用計画に対してRPOを導入しました。
従来は採用担当者5名で対応していた業務を、RPOチーム3名と自社担当者2名の体制に変更しています。
結果として、応募者対応時間が70%削減され、採用担当者は戦略業務に集中できるようになりました。
実際に、面接から内定承諾までの期間が従来の21日から14日へ短縮され、内定辞退率も15%から8%に改善しています。
RPOによる専門的なフォロー体制により、候補者満足度も大幅に向上したことが成功要因として報告されています。
専門職採用での成功事例
専門職採用におけるRPO活用は、採用難易度の高いポジションでも高い成果を上げています。
IT企業のエンジニア採用では、従来の採用手法で年間10名の採用目標に対し3名しか採用できませんでした。
RPO導入後、技術理解の深いコンサルタントによる候補者へのアプローチにより、年間12名の採用に成功しています。
特に効果的だったのは、GitHub等のポートフォリオを基にした技術レベルに応じた個別アプローチです。
具体的には、候補者の技術背景を分析した上で、プロジェクトの魅力や成長機会を個別に訴求する手法を採用しました。
この結果、書類通過率が従来の8%から25%へ向上し、採用単価も30%削減することができました。
中小企業における採用効率化事例
中小企業でのRPO導入は、限られたリソースの有効活用を実現します。
従業員100名のサービス業企業では、採用担当者が1名しかおらず、年間20名の採用に苦労していました。
RPOを部分導入することで、書類選考から一次面接までの業務を外部委託しています。
これにより、採用担当者は最終面接と内定者フォローに専念でき、採用成功率が40%から65%に向上しました。
意外な効果として、RPOチームからの市場情報提供により、給与水準の適正化も実現しています。
月額15万円のRPO費用に対し、採用コストは年間で約200万円削減され、投資対効果は約13倍となりました。
まとめ【RPOは企業の採用課題解決に有効な手段】
**RPO(Recruitment Process Outsourcing)**は、企業の採用業務を外部の専門企業に委託するサービスです。
従来の人材紹介とは異なり、採用プロセス全体に関与し、企業の内部から採用活動をサポートする点が特徴となっています。
現在の売り手市場や採用手法の多様化により、RPOの需要は急速に拡大しており、2021年度の市場規模は628億円に達しています。
RPOを提供する企業は、総合支援型、オペレーション特化型、専門領域特化型の3つに大別されます。
各企業はそれぞれ異なる強みを持っており、企業の採用課題や規模に応じて適切なサービスを選択するとが重要です。
RPOは、企業の採用力向上と採用担当者の業務負担軽減を両立できる有効な手段として位置づけられています。